2ヶ月目を終わって

子供の頃、どうして自分がこの体の中にいるのか
鏡を見ながら不思議に思っていた。
それが、このスクールでは、当たり前のように思えてくる。
40億年の命になり、心に聞いてみると、
その疑問を持っていたことが、クリアーに見えてくる。
どれだけ、社会に向けた自分、自我が
それを押しつぶしていたことか。
命はいつも開放されたがっていることに気がつく。
このコースを2カ月続けることにより、
その気持ちが強くなった。
今は入り口を見つけられた。
これから毎日自分の命に聞き耳をたてながら
自分の居場所を見つけていきたい。

                                栗原麻里子
40億年の不思議

この手記を読んで、口数少なかった麻里子が、
こんなふうに受け止めていてくれたんだと、知ってうれしかった。
最も伝えたいことがちゃんと伝わっていた。
それも彼女の子供の頃の疑問に響きあうようにして。
鏡を見ながら命の不思議さを感じ取る
こんな子供がいたことも衝撃だった。

わたしが始めて命の不思議さに触れたのは
30代の頃、その当時熱中していた
淡水魚飼育の水槽を眺めていたときだった。
今、目の前を泳いでいる小さな稚魚も、
ゆらいでいる水草も、それを見ているわたしも、
みんな40億年前に発生した最初の命から
まったくきっちり同じ時間をたどって
現在を生きていることに気づいた。
その気づきに強い衝撃を受けた。

だが、その気づきから、
さらに、生命というものが、無限の個体に多様化しているが、
その実はひとつであり、
私達すべての個体としての生命体は
40億年続いている巨大な命を分有しているのだ、
という気づきに至るまでには、さらに25年もかかった。
論理的にはわずかな一歩だが、それに気づくには
途方もない時間がかかった。
自分のことを40億年の命と感じることではじめて
普段閉じ込められている自己や自我の狭い殻から
自由になることができる。
麻里子にもそれが伝わった。
それで大丈夫なのだ。
もはや人生を間違うことはない。
きっと自分の命が最も踊りたい場所で
最も踊りたい踊りを踊りぬく生き方を見つけてくれるだろう。

                                リゾームLee

Mille Plateaux 38 Mariko(Japan)



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